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ガット張りとストリンギング-テニス界にも和製英語-

「ガット張りお願いします!」

こんな調子で、部活終わりの学生さんがショップに駆け込んできます。
私たちにとって、ガット張りという表現は昔から慣れ親しんだものです。
ただ、ここ最近、ストリンギングという表現も多くなってきていると思います。

どちらの表現が正しいのでしょうか?

ガット張りとストリンギング、本質的な意味合いは同じです。

テニスラケットに張り上げるための糸を総称し、英語ではストリング(=string)と呼び、ストリングを張り上げることをストリンギング(=stringing)と呼びますので、全世界共通の表現はストリンギングとなりますが、日本ではストリングのことをガットと呼ぶことも多いため、ガット張りという表現も根強く残っています。
(今となっては、和製英語のような表現になるのかもしれません。)

その由来について、少しお話ししたいと思います。

今日のようにナイロン(ポリアミド)やポリエステル製のストリングが販売される前は、ストリングは全て羊の腸(現在では牛の腸)で作られた天然素材のものでした。
生物の腸からできたそれを英語ではガット(=gut:腸)と呼びますので、ガットを張るからガット張り。
その当時の名残があるのだと思われます。

近年、ストリングを張る人=ストリンガーという言葉とその重要性が認識されてきているので、糸のことをストリングと呼ぶことが増えてきているように思います。
ガット=天然素材(ナチュラルストリング) 、ストリング=天然素材、人工素材を含めての総称、と認識するのが正確かと思います。

それを理解した上で、当会では、ストリンギングという言葉を主に使用していきますが、まだガット張りという言葉が実際に多く使われているため、今しばらくはSNS等では併記する形で使用していこうと思います。

余談になりますが、同じく和製英語として、ロール(200m巻などのストリングのこと)という表現もあります。
ロールは、正しくはリール(=REEL)。
でも、日本ではロールがポピュラーですし、今すぐリールに変更して!なんて言うつもりもありません。笑

テニス界にも和製英語があることを、知っていただければ幸いです。
以上よろしくお願いします。

 

筆者
日本ラケットストリンガーズ協会会長
中村 伸治(ラケットショップ テニスピット)
店舗情報
京都府京都市伏見区
御香宮門前町187

075-603-2422

 

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