兵庫ノアチャレンジャー2023
2023年ノアチャレンジャー ストリンガーブースを終日、体験・見学させて頂きました。
その体験から私自身が最も感じたことは
ストリンガーとは、ストリングを張るための高度な知識、技術を習得していることは当たり前。
個々の選手や大会運営、及びストリンガーチーム等、周囲を常に俯瞰して観察し、
自主的に気遣いのあるサポートが提供できる能力が備わって初めて一人前である
ということです。
チャレンジャークラスの大会は、外国人選手が数多く参加しており、ストリンガーブースの雰囲気がまったく異なりました。
これまで見学で訪れたことのあるITF兵庫国際や関西ジュニアとは違った雰囲気を感じました。
プレーヤーのランクも高く、ストリンガーに対する要求がより一層高い印象でした。
選手自らDT値を図ったり、張り上がったラケットをコンコンと叩いてテンションが揃っているか確認したり、じっとラケットを見つめてラケットの変形具合をチェックし「次はこうしてほしい」などリクエストをしていたりします。
ストリンガーの皆さんも各選手の高い要望に応えようと、普段とは違う緊張感が漂っていました。
そして、オンコートが入るとチーム全体の緊張感が一層高まります。
選手がラケットを出してくるタイミングは様々ですが、
ファーストセットの途中にオーダーを出してくる選手もいて
【絶対次のセットのスタートに間に合わせる】という気迫があり、みんなでタイミングを伺います。
15分以内で張り上げ、コートに持っていくときも走って届けていました。
外国人選手とのやり取りでは、英語が主要なコミュニケーション手段となり、選手たちは様々な要望やラケットの張り方についても細かくリクエストしてきます。
例えば、選手によってはポンドではなくキロでオーダーすることもあり、受付にも大変気を使います。
その上、個々の選手の「クセ」や「好み」、更には「ゲン担ぎ」なども把握した上でセッティングする姿には感動すら覚えました。
大会中に不測の事態が発生しました。
ある海外選手がストリンガーブースに相談に訪れ、「自分が使用しているストリングのリールはありますか?」と尋ねてきました。
通常は選手の方が持ってきますが、その選手は前週の大会で使い切ってしまったようでした。
ストリンガーの皆さんはそういう事態を予測してある程度のストリングは準備してきているようです。
しかし今回、選手が要求していたストリングのゲージは誰も持っていませんでした。
ストリンガーチームは選手のニーズに応えるために、販売メーカーと連絡を取り、次の日の昼頃には試合会場に届ける手配をしていました。
この様な不測の事態に対しても冷静に対応できるチーム力の高さに驚きました。
見学する中で、私も受付の手伝いやステンシルのマーク入れなどを担当させて頂きました。
受付票や伝票の書き方、パソコンの入力、支払い方法など、正確に記入する必要があったため、準備には慎重さが求められました。
その全てにおいてスピードと正確性が重要視されることを痛感しました。
また、起こり得る事態を常に予測しつつ行動することも肝要だと気付かされました。
ノアチャレンジャーの本部はもちろんですが、参加一同は、選手、大会運営、そしてチーム全体に対して細やかな気遣いをしていました。
単にストリングを張るだけでなく、様々なサポートを提供するプロ意識が伺えました。
私自身も僅かながらストリンガーチームの経験をさせて頂きました。
将来のためにも、いつか私自身もこのチームの一員としてストリンガーとして参加したいとの想いがより一層強くなりました。
皆さん本当にありがとうございました。
筆者 田中 弘樹 (すずらんローンテニスクラブ) 【店舗情報】 |